2017年 02月 26日
今年の2月 |
ミラノでこのブログを読んでくれている知り合いの人に、2月に入ってから更新してないね



さらにさらに、この1ヶ月半で、スカラ座のジェネラーレ(最終ゲネプロのこと)に3回潜り込むことができました。


と言われて、はじめて、気が付きました。
もう2月も26日じゃないですか!
今月は(まだ終わってませんが)色々ありまして。
念願のアルプススキー旅行に行き、チェルビニアでの景色に痛く感動し。
雲の上の世界。
珍しく晴天だったそうで、珍しくたっぷり雪も降った翌日で、非常にラッキーでした。滑っても滑ってもコースがつながっている究極のヨーロッパリゾート地です。


イタリア側から拝んだマッターホルン。

とかしていたら、いきなりフィガロの結婚のマルチェリーナ役がいないからやってくれと、頼まれ。
普通は、メゾの人が歌うんですが、最近リリコになっているのを聞いたお世話になっているマエストロが、頼んでしまえ、と思ったようです。2週間後が本番というタイミングで言われて焦りました。
スキー場に向かう車の中で、歌詞暗記しましたよ。。1週間でなんとかレチも歌詞も覚えました。重唱の音も動きも入れました。人間追い込まれたらある程度は何とかなるんだと思いました。
ミラノ最古のテアトロ、と言われるTeatro Littaにて。
素晴らしいメイク技術(ただえさえ最近痩せ気味なのに、ますます顔をこけさせ、白髪まで塗られました!)と、左は実は夫だったというバルトロ役のタエさん(韓国人です)。彼も見事なオヤジさんぶりです。
絶妙な表情を捉えたカメラマンの腕が光る1枚です。

普通はカットされてしまう、マルチェリーナのアリアも、マエストロはカットしようかなという感じでしたが、勉強しました!と主張して歌わさせてもらいました。(主張しないと始まらない)
あんまりマルチェリーナは深入りしたことなかったんだけど、彼女実に人間深い。
最初は随分年下のフィガロにお熱をあげ、若いスザンナに散々嫌がらせをし、周りの取り巻きの力を借り、誰も逆らえない伯爵の権力を使って、何とかフィガロを自分のものにしようとするのですが、フィガロが実は、昔産み落とした直後にさらわれてしまった、バルトロとの子供だったことが分かった瞬間、母性愛と人間愛に目覚め、世の中の男たちを暖かく見守る、という変身ぶり。
このアリアは、「自然界のヤギも羊も、自分の相手を束縛なんてしない、自由にさせてとてもうまくやってるのに、人間の男たちは強欲で、いかに勝手なのだろう」と歌います。
彼女メゾの音域なのに、このアリアだけ急にソプラノの音域にあって、しかもコロラトゥーラ要素が交じるので、あまり歌われない(カットされる)のかなと思いましたが、私にはこのアリアのが歌いやすかった(あらら)。
ちなみに、スキーではアオスタというエリアに行ったわけですが、ちょうどヤギのチーズがたっぷり出てきたし、イタリアでは羊のチーズはしょっちゅう食べます。ヤギをイタリア語でなんていうか、今回知りました(笑)この国ではこんなアリアで例にあげてしまうくらい、ポピュラーな動物は、当時からヤギと羊ちゃんみたいです。イタリア人がこの歌を聞いて思わず笑っているのを見て、なるほど、と思いました。
フィガロは、演出がうまければ、ほんとうに面白くなる、お客さんの笑いがたえないブッファ(喜劇)で、登場人物全員それぞれが皆キャラがたっていて、音楽も非常に美しいし、やっぱりとっても大好きなオペラです。

これはチケットは販売されることはなくて、関係者の人から、いきなり明日の午後、とか下手をすると今日の午後だけど、来る?なんて感じで誘ってもらえることがあると、行くことができるかもしれない、という。誘われたら、他の用事があっても全部動かして、駆けつけてます。
演目は、ドン・カルロ、ファルスタッフ、椿姫。
見事に3作品ともヴェルディ。プッチーニと、ヴェルディというのが、この国のオペラ界のレパートリでいかに重要なことか。
この中では、椿姫が圧倒的に良かったです。歌手も、演出も、音楽も。ペレズの艶のあるヴィオレッタも、ヌッチさんのジェルモンも、もう85歳になるサンティの指揮も、素晴らしかった。テナーのメーリさんは、風邪気味なのかたまに咳しながら歌っていて、高音はだいぶ抜いてましたが、それでも素晴らしすぎる鳴り。彼が高音をサボり続けていると、とうとうサンティが指揮者席から、いい加減にしろー、と催促するように歌い出す、という。ちょっと可哀想。早く風邪治りますように。
写真は椿姫の3幕から。ほぼ真上で聞けて、発声の面からも非常に勉強になりました。


出演者が少ないほうが、音楽のクオリティがあがりますね。そしてあんまり演出がモダンだと、やはり観客には?印で頭がいっぱいになってしまい、ストーリーに集中できない。あと指揮者の威厳は大きい。スカラ座のレベルでも、オケ内、歌手たちと息があわず、ズレズレなこともしょっちゅうあったり。(そのまま本番に突っ込むと思われます。頭からお尻まで3時間超に渡るオペラですから、初日2日前から再び調整している時間はもはやありません。)
今回たまたまチケットを融通してくれた、スカラ座で働く人も、いかにsicurezza(確かさ。どんなときでも、確実に歌う、ということ)があるかが重要だ、それができる歌手が少ない、と言っていました。この世の中には、沢山歌手があふれているのにね。
確かに100%きっちり歌い上げる、どんな体調のときもどんな天気のときも、連日稽古で疲れているときも、どんな指揮者でも共演者でも演出家でも、完璧に歌う。動ける。
というのはとてもとても難しいことです。
ちなみに、このジェネラーレは、関係者(オケ・合唱の現役友人、OBOGや、演出や衣装などで昔関わった人)+演奏家、エージェンシーでいっぱいで、観光客はいないので、休憩時間には、皆思ったことを言いたい放題言っているのが聞こえてきて、それはそれで面白いです。
最近は、こんな感じで過ごしてます、ということを一気に書きました!
来月は何が起きるかな?!
色々いきなり予定が埋まっていくのが、イタリアだなぁと思いながら、日々過ごしてます。
by sayakah626
| 2017-02-26 05:06
| 歌について
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