2016年 05月 17日
Lucia di Lammermoor ランメルモールのルチア公演@ミラノ |
3月のことなので、ちょっと前になりますが、ミラノのTeatro Resetumというところで、ドニゼッティのオペラ、「ランメルモールのルチア」でタイトルロールのルチア役を歌わせていただきました。
「ランメルモールのルチア」というお話は、すごく大胆にまとめると、要はロミオとジュリエットのイタリア版。 出会ってはならないのに出会ってしまったエドガルドとルチアは恋に落ちますが
当然許されません。
ランメルモール家を守るために、無理やり兄エドガルドに政略結婚させられてしまうルチア。 兄に執拗に責められるあまり、家族思いのルチアが思わずしたくもない結婚届けに虚ろながらサインしてしまった場に、敵国での戦いから戻ったエドガルドが乱入。 どんなに事情を説明しようにも、サインしてしまったのは事実。エドガルドは怒り狂います。
そして迎えた初夜。 エドガルドを思うあまり、どうしてもその結婚に絶えられないルチアは、結婚相手アルトゥーロを刺したうえ、とうとう本当におかしくなってしまいます。これがかの有名な、ルチアの狂乱のシーン。
そこにはいないエドガルドの存在に語りかけて、ひたすら許しを乞うルチア。 精神的に追い詰められたルチアはとうとう死んでしまい、エドガルドもルチアを追って自死します。
本当に哀しいお話であると同時に、超難度の高いこの役。
普通は、ルチア役は色々経験を積んだベテランが歌う、ということで、勉強のためにと軽い気持ちで練習を始めたのですが、運良く歌わせていただけることになり。というか、そもそも歌える人はそれほど多くないと思います。だから回ってきたとも言えますが、お客さんすごく喜んでくれていましたが、でも私も歌えていたか、かなり怪しい。。 割にリリコで充実した低中音が求められると同時に、high Esも出さなきゃいけない。コロラトゥーラ的な要素も必要。出ずっぱり。もちろん演技もしなきゃいけない。 狂乱のシーンの最後は舞台の端から端まで走り狂いながら、その合間に歌い、そして倒れる。 稽古の毎日、息も絶え絶えでございました。
本番歌ってたら、本当に悲しくなってきちゃって。 エドガルドに、事情を聞いてって訴えるんですが、聞いてもらえなくて、このアバズレめ!みたいな感じで放り投げられるんですよ。もう、ルチアの気持ちを思うと耐えられませんでした。
それにしてもオペラ歌手って求められる要素が半端ない。し、沢山の人の手が必要です。 皆さん、オペラに是非応援おねがいします。(汗)
最後、みんなで。お疲れ様でしたー。 また頑張ります!
Teatro Resetumというのは、知る人ぞ知る?場所なようで、かのマリア・カラスもここで歌ったそうです。終演後わざわざ声をかけてくださったイタリア人のおじいさんは、とても喜んでくださり、ここでカラスがミラノに来てすぐの頃聴いたんだって教えてくれました。50年程前!のことのようです。
第一幕の冒頭のシーン。
池の中から現れた亡霊が、ルチアだけに見える。
叶わない恋をしてしまったとある女性がこの池の側で殺されて葬られることなく眠っていると語ります。
してはならない恋をしてしまったルチア。
by sayakah626
| 2016-05-17 04:18
| 歌について
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